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5.カニクイザル凍死事件


カニクイザル9匹凍死  電気代滞納、暖房切れ(昭和60年12月)4年前にはライオンも またもずさん管理

 ライオンなどの野生動物を放し飼いにしている苫小牧(中略)「北海道野生動物公園」(Y社長)が経営不振に陥り、電気料滞納で送電を止められたため、暖房ができなくなり、飼育中のカニクイザル10匹のうち9匹が寒さのため死んでいたことが2日までの道の立ち入り検査で明らかになった。
 同動物公園では56年にもエサ不足などからライオン12頭などが死に動物愛護団体などから同動物公園のズサンな管理と動物虐待などを強く批判されたことがあった。
 道生活環境部の調査によると、同動物公園は現在、ライオン20頭、北極熊4頭、ヒグマ3頭など野生動物8種類34頭が飼育されている。しかし同動物公園は経営不振から9月末までに
約390万円の電気料金を滞納、北海道電力が10月29日から同動物公園に対する送電をストップした。

経営不振の北海道野生動物公園
経営不振の北海道野生動物公園
 同動物公園は冬季の暖房を電気に頼っていたが、送電を止められたため暖房ができなくなり、動物達は寒さに凍えていたという。またエサも満足に与えていないことからほとんどの動物は栄養失調で厳しい寒さにさらされ、やせ衰えている。
 これら動物の中でも体力のないカニクイザル9匹が次々と死に、生き残った1匹も体力の消耗が激しく危険な状態。
 同動物公園は54年4月、資本金1億500万で設立された。客入りが悪いため、新しい施設を次々と増設したが、逆に資金繰りが苦しくなり、58年6月に不渡り手形を二度出し負債30億円を抱え、事実上倒産した。
 その後、債権者会議は開かれず、Y社長も一時、姿を隠すなど、経営は野放し状態となっていた。このため、大口債券者が数人、債権を回収しようと経営にタッチしたが、立て直すことができないでいた。(後略)

この後、危篤状態だった1匹も死に、カニクイザルは10匹すべてなくなってしまいました。

また、朝日新聞の記事では、こんな管理の悲惨さを伝えています。

(前略)このサルは、一昨年春、横浜の動物業者から購入したもので、冬の間は木造の小屋に入れ、3、4個の電球をつけて暖をとって寒さを乗り切っていた、という。
 しかし、電気料金が未払いで、10月29日から送電がストップしてこの暖がとれなくなり、
飲料水も確保されていなかった。えさも3日に1回だけだった。また、賃金未払いで従業員もやめ、施設の管理がずさんになっていた。同園には道危険動物飼育条例に基づき届け出のあった管理責任者や作業従事者がおらず、Y社長の兄が一人で管理にあたっていたという。(後略)

この事件を受けて、道からの処分、指導、立ち入り検査を受けた模様。(苫小牧市史より)
その後も折からの不況と入場者の激減で経営不振となり、昭和62年2月、北海道野生動物公園は事実上の倒産に追い込まれました。



現在、ジョイランド○前の駐車場跡にひっそりと残る獣魂碑があります。
裏には「平成三年五月建立 株式会社D王」と刻まれています。

ジョイランド 獣魂碑


閉園後から、かなり時間が経ってからの建立。
関係者には、忘れたくても忘れられなかった事件なのでしょう…。

ジョイランド○前に関する事件のレポートはこれでお終いです。

しかし…









場所を変えて、連鎖するように続けられるずさんな動物管理。

次章、
「もうひとつのジョイランド」

続きます。



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