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2.神谷寺トラ騒動余波


神野寺トラ騒動(昭和54年8月)

千葉県神野寺という寺で観光用に飼われていた虎12頭のうち、2頭が逃げ出すという事件がありました。
虎は27日間山中を逃げ続け、民家の飼い犬を食い殺すなどした後に、射殺されています。


神野寺わきの県道下で射止められたメスのトラ
1匹は2日後には射殺されました。
犬の首輪だけが残っている種沢さん宅の檻
2匹目の雄のトラが約一ヶ月も逃げ続けました。
写真は飼い犬が食われた人家の写真。

これはかなり大きな事件として全国的に報道されました。
(図書館にある、「○年の重大ニュース」などの映像資料でも当時のニュースを見ることができます。)

さて、その残りの虎を引き取ったのが動物商のA氏という人物。
彼が虎を北海道に運ぶという話をしたために、「来るとしたらジョイランドか!?」と町は色めき立ちます。



「神野寺のトラが本道へ!?〜動物商は否定」 「うちに来ては困る〜苫小牧市、怪情報に大慌て」

(記事抜粋)神野寺のトラを引き受けた動物商Aさんが猛獣の落ち着き先を秘密にしたまま本道方面に向かった―というニュースは苫小牧市N岡の総合レジャー施設"ジョイランドT前"の「道野生動物公園」を経営する「D王」、苫小牧市、苫小牧署などあわてさせた。
「本道の落ち着き先といえば苫小牧の動物公園では…」―。こんな共通の思いが三者の関係者の脳裏を走ったからだ。
しかし、「まず必要なのは正確な情報だ」とY社長は動物公園の留守を預かるA鳥獣店関係者に真相を問い合わせたが、「31日夜から連絡は全くない。神野寺に電話しても通じない」と雲をつかむような話で、焦りだけが募った。
そのうちに「仙台から苫小牧に向かってフェリーに乗った」など怪情報が交錯したが、その一方で
「こちらに来てもらっては困る。樽前山の噴火の危険もあるし、千葉県の二の舞は踏みたくない」と市助役
1日夕方になって、D王にトラなどの受け入れ拒否を申し入れたところ、
Y社長(注・動物公園の社長)も「うちも困るんだ。住民感情を悪化させたくないし、トラは受け入れません」と市に確約
だが、トラは苫小牧に向かっているようだとの情報がいよいよ深刻味をまし、ミステリーじみた状況の中で、苫小牧の不安な 夜が過ぎていくだけだった。


(皆の困っている様子が可笑しい。 )

苫小牧市はトラを勝手には持ち込めないよう、ジョイランドの猛獣の実数を把握し、フェリー会社に情報提供を依頼するなど手を回します。
それについて、A氏は「猛獣の管理面が心配だから十分な配慮を、というならまだしも、持ってくるなというのは、いまの日本では何の法的根拠もない。フェリー会社まで手を回すのは全くの越権行為で営業妨害だ」と一時期は市を相手取って損害賠償を訴える所まで事態はこじれます。
しかし、結局は「トラは美瑛町のSタイガーパークに運ぶ」「苫小牧市には檻を輸送用に交換するために立ち寄りたい」とA氏が苫小牧市に申し出、市も承諾する形で落ち着きました。

トラ8匹は9月上旬、苫小牧市ジョイランド内に輸送されました。ここで檻を替えて、落ち着き先のSタイガーパークまで運ぼう、としたところ…。



「トラまた立ち往生〜やっと苫小牧に着いたが 美瑛側が『待った』」「強行するなら契約解除」

8匹のトラを受け入れる予定になっている上川管内美瑛町では「北海道Sタイガーパーク開設の計画はあるが、事前に連れてくるという話は全く聞いていない。今持ってきても契約違反になるだけ」と今の段階での受け入れを否定している。
同町では、神野寺のトラを引き取ったAさんとは、4日に同タイガーパーク開設の正式契約を結んだ。
(中略)柵をめぐらし、シベリアタイガーなどを放し飼いにするという計画だが、オープンは来年の5月になっており、「オリなどの施設が完成してからトラを入れる契約で、オープン前に持ってくることは百%あり得ない」(M美瑛町企画課長)という。
また、
「もしAさんがすぐトラを持ってくるようなことになれば契約違反になり、その時には契約を解除することになる」(T助役)と強硬な姿勢を見せている。

(そりゃそーだ。檻もできてないのに…ってこれジョイランドと同パターン…。)


虎は苫小牧に据え置かれます。


「逃避行の疲れか沈黙〜見物の市民『かわいそう』」

(記事抜粋)主役のトラは'逃避行の'疲れからか、ほとんど沈黙したままだ。
「3頭ぐらいはかなりよわっているんだ。緊急捕獲用のオリだから、エサも満足にやれなかったし、骨と皮になっているのも…」。トラの身を案ずるAさんの言葉に実感がこもる。
その傍らで、見物の市民10人ほどが、野生動物公園の外サク越しに恐る恐る見ていた。「あのトラックに神野寺のトラが…」「逃げたら大変だけど、何もしないのに安住の地もなくかわいそう」(中略)トラックの荷おろし作業を、トラックの目と鼻の先のオリの中で、ライオン十数頭が群れをつくってにらみ、時折、トラックに呼びかけるような雄たけびを繰り返していた。


「安住の地なし神野寺のトラ君〜『そっとしておいて』嘆く動物商」

(記事抜粋)トラはいったいどこへ行くのか―。「どこも受け入れてくれるところがなければ、射殺するしかなくなる」とAさんがもらしたことから「そんなかわいそうな…」と抗議の手紙も舞い込んでおり、Aさんは改めて「真意はみなさんがもっとトラを温かい目で迎えてほしいということです」と訴えている。



結局、9月から11月末頃までジョイランドに置かれていました。その後、A氏が虎を(苫小牧市に連絡なく)移動し、名古屋方面に引き取られて行きましたが、詳しい行き場所などは「受け入れ先に迷惑がかかるから」と明かされず、謎のままだった様子です。神野寺虎騒動はこれにてEND。
苫小牧入りした神野寺のトラ



〜この頃起きた他の事件〜

「動物建設で手数料かせぎ計画〜日通社員が偽契約 着服の穴埋め図り失敗 札幌二人逮捕」(昭和55年9月)
記事を読んでも良く分からなかったのですが、ジョイランドがらみでリベートがどうの、という汚職があった様子。


「シロクマの子 スタコラ脱走」(昭和54年12月)
こっちはかわいい(笑)撮影会のために牧場外に出したら、首輪が外れて数分間シロクマの赤ちゃんが逃げ回りました。