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9.Sタイガーパーク 道警捜査とその後


道警 美瑛タイガーパーク操作 ずさん飼育解明へ 「毛皮疑惑」など視野(平成11年6月)

ずさん管理の問題が発覚してから一か月後、道警の捜査が入ります。

北海道Sタイガーパーク内を家宅捜索し、飼育舎の大きさなどを確認する道警捜査員ら
(全略)林に囲まれた同パークに捜査員約30人が入った。ワゴン車やバスなど9台に分乗した捜査員が中に入ると、同パーク内では関係者とみられる男性が「どうしてこうなったんだー」と絶叫する姿も見られ、同パークの戸惑いの大きさを見せつけた。

この調査では、道の許可を得ずに設置された飼育舎があるほか、二個以上必要とされている飼育舎の出入り口の錠が一つしかないものがあったり、一部の檻が定められた二重構造ではないなど、道危険動物条例の安全基準に違反した項目が見つかっています。

この捜査で、様々な疑惑は明らかとなったのか?
その後は北海道新聞の記事では追うことができなかったので、自然環境・動物保護に取り組む市民団体地球生物会議(ALIVE)の会報27号から、「北海道Sタイガーパークについて」坂元雅之氏のレポートの「追記;日本のトラ牧場のその後」(2001)を引用させていただきます。
(伏字は当サイトによるものです)


経営者は、1999年10月28日、旭川地方検察庁に書類送検された。
2000年3月30日、危険動物条例違反の事実は認められたものの、牧場主は起訴猶予処分になっている。
一方、トラの身体部分・製品等の違法取引(種の保存法違反)については、北海道警察はその証拠を発見することができなかった。この時点で、刑事上の捜査は終了している。

2001年5月、JWCS(野生生物保全論研究会)は、牧場のその後について北海道庁上川支庁から聴取りを行った。
上川支庁は、1999年の事件以来、年に一回、牧場への立ち入り検査を行いながら行政指導を続けることにしているとのことである。
2000年12月の立ち入り調査では、施設内のトラは5頭であり(1年に4頭死んだことになる)、死んだ個体は埋めたと経営者が述べていたそうである。
しかし、この点について上川支庁は、経営者から話を聞いただけで、特段の確認をしていない。

また、死んだ個体の処理と取引に関して、日本政府(環境省)から上川支庁への助言や依頼は何もなかったとのことである。
このように、1999年10月以来、牧場からのトラの身体部分・製品等の流出の監視については何の措置もとられていない。


トラの毛皮・骨の違法取引は証拠が見つからなかったのですね。
ドイツに報告していた頭数47頭と、上川支庁への報告数29頭、実際の飼育数9頭の差の謎も判明されず…。

元々、Sタイガーパーク開園のニュース記事に「シベリアタイガー(アムールトラ)6頭を展示」とあるので、ドイツ、上川支庁へ報告した数が「世界最大の飼育数!」と謳いたかったための虚偽の報告だった可能性が大きいと思いますが…。

それにしても、事件後の一年間でトラが4頭も死亡したという事態も酷い。
今回、過去の記事を見返してみて、ジョイランドレポート6内で、美瑛町にシベリアタイガーが搬入された時の頭数が7頭(1980年6月)、開園時6頭(同8月)と違っているのに気付きました。
この時も、一か月の間に、一頭亡くなっていたんですね…。

以上、苫小牧ジョイランドT前から、美瑛町Sタイガーパークへ舞台を移しながら続いた、ずさんな動物管理の事件の数々でした。
すべての事件に通底しているものは、生物の命に対する軽視の姿勢だと思われます。

今回まとめたレポートが、これらの事件が年月に埋もれることを微力ながら遅らせ、同様の事件に警笛を鳴らす役割を持つことを願いつつ、ジョイランドレポートを〆めたいと思います。